2015年 4月号 no.134 2/3

         旅情萬里・逍遙


     春遊源平旧跡           神奈川県 高橋子沖

      五古・源平争乱

  保元平治風,源平争権力。平氏支配通,頼朝沈無声。
  雌伏二十年,挙兵頼朝志。敗走山岳頭,土肥支援円。
  真鶴幸運巡,安房再起転。一族入佳辰,歴史推移新。

      五律・源平干戈石橋山 

  険峻石橋峰,頂祠午務鐘。興亡相克地,無跡士魂萎。
  回顧宜吾老,流雲落葉重。蕭然不客問。夢裡夕陽舂。 

      七絶・石橋山佐奈田与一霊社

  源氏忠臣与一霊,攻防隠隠死山蹊。世人今昔堪惆帳,如弔塚丘春鳥啼。

      五古・石橋山偶感

        一

  京洛驚住民,保元平治乱。源平走風塵,天地世如夢。回顧感更新,山峰風光好。

        二

  頂立石橋山,回顧源平戦。利害権力間,紅白残塁下。老少遊子顔,春花鳥声姻。

      五絶・湯河原鵐(しとど)窟 偶感

        一

  険難山岳窟。何耐七騎兵。今尚滴流水,鵐鳴気不平。

        二

  隠身七騎姿,堅固暗風吹,流水今猶滴,浮生万感思。

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      五絶・真鶴鵐窟 偶感

        一

  隠身敗残騎,山陰古渡頭。天雲情不浅,脱出月如鉤。

        二

  源氏天運乱,無声岩窟中。船来還一夢,再起思微風 

      七絶・湯河原鵐(しとど)窟 偶感

  挙兵源氏制伊豆,大敗逃走山石橋。援助土肥情不浅,再起切々夜蕭条。

      七絶・真鶴鵐窟 偶感

  隠身真鶴七騎思,平氏東征不可追。脱出安房還一夢,興亡天仰月如眉。

      七絶・郷土武将土肥実平夫妻像

  源氏挙兵参乱世,石橋敗北独交親。山河苦難供生死,銅像雄姿感懐新。

      五古・土肥夫妻像湯河原駅前

  敗残援頼朝,夫妻導石窟。七騎涙深宵,再起思切切。山野路迢迢,真鶴船便企。


      湯河原光風荘(2.26事件) 

       五言絶句

  牧野伯幽居,観梅気凛如。夢醒将校襲,今日落暉虚。

       五言古詩

  青年襲別荘,元老逃山麓。春回早梅香,天地驚如夢。回想八十霜,人材皆泉下。

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    古河七福・名所,瑞江名所 古詩新韻 東京都 池田耕堂

     古河公方御所跡(古河総合公園)  茨城県古河市
    = 坂東の小京都、古河公方五代の御所(別館)跡 =

  冬枯草野望雲山,渡良瀬水連碧天。蒼茫公園実閑静,民家曲屋別興牽。
  公方石塔竚林下,御所池畔禽鳥攅。春來桃紅覆丘阜,盛夏蓮花競芳妍。

    (注)曲屋:まがりや(L字型の家屋) 蓮花:大賀蓮

     下総古河城            古河市渡良瀬遊水池
    = 土井利勝が築いた江城址、現在、日本最大の遊水地 =

  大河縹渺抱城流、日光街道連閣楼。昔時江城実雄壮,百間壕上天守浮。
  利勝築城整城下,公民津岸蔵荷舟。維新確立城破却,遊水建設無水憂。

   (注)利勝:藩主土井利勝  遊水:渡良瀬遊水池

     古河正定寺            古河市大手町
    = 古河藩主土井利勝開基の寺院、弁財天の祠宇 =

  日光街道往来繁,水陸要衝満高軒。高台本殿実雄大,福神祠宇殊可憐。
  弁天尊像賜春日,小堂建設利勝山。藩主墓所真質素,石佛宝塔林下連。

   (注)春日:春日局。利勝山:正定寺の山号

     下総頼政神社 平水韻       古河市錦町
    = 以仁王の要請で挙兵した源頼政は宇治川の戦いに敗れ
       自刃し、その家臣が首級を古河に運び祀った神社 =

  利根川原葦芦滋,関東平野風景奇。頼政神社在丘上,質素社殿唯独悲。
  武将敗北空自刃,家臣携首祀草祠。屡遭洪水為遊水,鎮守移転安置茲。

   (注)武将:源三位頼政。家臣:下河辺行平。遊水:渡良瀬遊水池

     古河福寿稲荷神社         古河市中央町
   = 寿老人を併祀する、初代古河藩主小笠原家の祈願所 =

  江戸町通商賈喧,高台神社並隆岩。稲荷祠宇実素朴,寿老尊像殊可憐。
  藩主創建祈願所,古堂改築参拝繁。豪華社殿惜焼失,近年再建唯慨然。

   (注)隆岩:隆岩寺。藩主:小笠原秀政

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     下総大聖院(三王宮)       古河市本町
    = 観音・弁天・地蔵を合祀する古河で最古の社 =

  古河宿場閣楼連,蒼茫境内林樹鮮。門前祠宇語風雪,神仏混淆弁天妍。
  壮観本堂釈尊儼,鐘楼重塔幽興牽,屡遭災害恒再建,賢人卓見救旧藩。

    (注)門前祠宇:三王宮。賢人:古河藩筆頭家老小杉監物

     下総徳星寺            古河市横山町
   = 門前の観音堂に観音・弁天・地蔵を祀る真言宗の寺院 =

  迎春松竹飾千門,屠蘇共祝心気新。良辰連袂巡街巷,徳星祠社詣三尊。
  厳然古刹実閑静,大師堂宇無俗塵。昔曾宿場特殷賑,豊肴銘酒愉衆人。

    (注)大師:弘法大師空海

     下総長谷観音           古河市長谷町
    = 古河公方足利利成氏が鎌倉をなつかしみ建建した寺院 =

  幾千提灯並蕭林,清閑境内無俗塵。荘厳寺院梵声聞,端麗尊像幽興深。
  公方懐古鎌倉地,観音勧請祀鬼門。維新発令雖廃寺,近年再建朱殿新。

    (注)観音:大和長谷寺、相模長谷寺と同じ木で作られた観音像

     一之江名主屋敷          江戸川区春江町
    = 江戸時代初期に新田開発した田島家の居宅 =

  荒川桜堤望蒼茫,豪農居宅冠水郷。雄大表門感歎久,茅葺廈屋幽趣長。
  図書開拓芦荻野,政治再建曲高堂。園田情景何処在,閣楼建並遊子傷。

   (注)図書:田島図書(豊臣の家臣、堀田図書盛重)
      政治:六代目田島嘉右衛門政治

     春江城立(じょうりゅう)寺    江戸川区春江町
    = 一之江開拓の田島図書の眠る田島家の菩提寺 =

  春江寺院老松滋,観音迎客含玉姿。古風本堂実荘重,最澄彫佛真数奇。
  開基図書眠墓所,釈迦巨像厳在茲。水郷光景已消滅,雨期泥沼人不知。

   (注)最澄彫佛:伝教大師最澄御作の鬼子母神像

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     瑞江大雲寺            江戸川区西瑞江
    = 歴代の羽左衛門、菊五郎、彦三郎などの
        歌舞伎役者四十余人の名優が眠る名刹 =

  東郊閑静望蒼茫,再建名刹幽興長。壮観本堂新且浄,幾多役者眠墓場。
  蔵前寺院移押上,震災遭遇鎮瑞江。無辺田野変街巷,椿通商店共繁昌。
   (注)椿通:山門前の大通り。平成三年に本堂、後に鐘楼、書院竣工

     西光寺・立木観音         江戸川区南篠崎
   = 名主芦田家の菩提寺と同家都下唯一の立木観音菩薩 =

  瑞江古刹逓相尋,庚申石佛迎衆賓。壮観本堂別天地,地蔵線刻催興深。
  檀家祠宇星霜語,立木観音真佳麗。水郷遺構僅残存,沿川緑道住民憩。
   (注)庚申:庚申塚。石佛:阿弥陀・大日如来石像


          現代短詩


曄歌

      鎮魂東日本大震災        千葉県 高橋香雪

  歳月空,家族離別,西又東。

  寂無喧,四年歳月,跡尚存。

  一株松,留在奇跡,香火供。

      五 首             東京都 田村星舟

  春恨滋。蜂蜜垂匙,粗餐哉。

  月一鉤。看花半醉,事事幽。

  日月驅。庭梅老幹,半身枯。

  風意柔。終日無為,樹木瘤。

  萬花開。鳥葬風葬,之快哉。

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      三 首             東京都 石倉鮟鱇

  學詩韻,樂道安貧,時少飲。

  花粉繞,搶却銀行,添口罩。

  櫻雲涌,道弟稱兄,抱春甕。


三聯五七律

      時事感憤             神奈川県 萩原艸禾

  荒野絶衰草,驕陽烙熱砂。生擒猶欲殉誠志,義戦何勝繕狡猾。
  小院残燈暗,何時上帝罰。

短詩と俳句・短歌

  花鳥,聲高,鳴古道。  聲高く花鳥鳴きをる古道かな

  殘暴,風刀,刮王道。  風刀の殘暴刮(けず)る王道を

  大砲,劍豪,殫覇道。  大砲や剣豪覇道に殫(たお)れけり

  媚笑,春宵,勸人道。  春宵に人道勸むる媚笑かな

  墓道,阿嬌,種花草。  墓の道に阿嬌が種うる花の草

  蝶戀蜂狂,喜花怒放,醉春光。
  蝶は戀ひ蜂は狂へり怒放せる花を喜び春光に醉ひ

  蜂狂蝶亂,春晝花間,設筵宴。
  蜂は狂ひ蝶は亂れて春晝の花間に設けり筵の宴を

  春生羽毛好,花底詩豪,作黄鳥。
  春生ゆる羽毛よろしくウグイスに詩豪はなれり花の底にて

  仙女彈琴處,詩人擬古,爲鸚鵡。
  仙女琴を弾けば詩人は古へになぞらへ鸚鵡となりにけるかも

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          漢 俳


      三 首             福建南平 陳学樑

  櫻花正孕苞,白雪襯来春迨蕩。葛飾領新潮。

  水仙清雅秀,仰慕梨雲松戸景。詩韵漾芳洲。

  春信過東洋,妙筆書成詩友業。馬年意気揚。

      題延平百合花 三 首

  春到延平醉,花季欣時百合俏。敢把牡丹邀。

  花語怡人句。送福千家肇平安。一束祛春寒。

  静謐臨窓佇。擷来春色亮書房。対友話哀腸。


    長野滑雪之旅五首          上海 陳 興

  題記:新宿都廳7:42發/髮車。約12:00到達長野八方白馬村。
回,16:24發。21:45到達。

      春往長野

  春來雪國行。過處萬山皆水墨,漸遠是東京。

      甲斐龍地停留

  山脈臥龍姿。積雪雲端猶未化,龍地駐留時。

      八方滑雪地初試

  滑雪客紛紛。金髮小兒輕巧過,曲線兩條紋。

      夜歩數里至八方温泉

  夜歩雪墻邊。路燈稀少繁星辨,笑語出林間。

      長野白馬村與諸君堆雪人

  深林雪未止。春風吹到可相逢,春天的信使。

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     世態寫生             千葉県 紫陌青猫

      (一)

  世人愛銅錢 美元日元人民元 金融小大盤

      (二)

  民以食為大 柴米油鹽醬醋茶 聯手齊漲價

     春意寫生 七首          千葉県 紫陌青猫

      (一)

  緋紅三月天 梅朵謝罷櫻花艷 忙煞百花仙

      (二)

  曲徑聞鶯鳴 幾抹新綠染窗櫺 珠簾戲東風

      (三)

  柔枝泛柳煙 簷下古巢添新泥 幽蘭綻籬邊

      (四)

  庭草露嫩尖 冰融雪消春意暖 櫻笑繁枝間

      (五)

  煙霞三春先 席地吟唱櫻魂曲 花間米酒酣

      (六)

  櫻雲籠街衢 千枝萬朵翩翩舞 頓作桃花雨

      (七)

  憑欄思燕歸 忽覺暖風輕拂面 窗影幾枝梅

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      在印度 七首          東京都 竹田甲春

  白日照鮮紅 火炎樹茂蓋児童 打玩得放縦
  火炎木草クリケットを見守らん

 “孟買”就良灣 幸福紅日照人間 老鷹旋轉環
  幸多きボンベイ(良湾)入り日さしば舞ふ 

   (注)孟買;Mumbai=Bombay=Bom Baia(ポ)1661年ポルトガル王室より
      英国へ持参金として贈与

  繚亂暗紅雲 '阿拉伯海'繡朱紋 落暉專血氛
  茜雲アラビア海はワイン染め

  天暖見嫦娥 朧朧嫋嫋笑顔奢 立春吉兆多
  暖色の望月笑みて春立ちぬ

  大城市平凡 一半待機一半嫌 二月雪蒙穿
  ビルの街期待半ばの余寒雪

  青天焚燒紅 徳干原野熱浪朦 黒面擴無窮。
  野焼き火のデカンに描く黒き面

  老媼經常座 藍花楹下小祠裹 命安離大過。
  印度桜(ジャカランダ) ヒンズー祠廟守(も)る老婆

     日本春節時事羊句 三首     東京都 竹田甲春

     『夫婦別姓』向最高法院上訴

  夫稱婦倣姓, 告朔餼羊官典硬 人抗星霜諍。

  政權開始『農業改革』?

  農何勢利劣, 多岐亡羊活力滅, 自主創新業。

     『混入事件』打擊漢堡名牌

  羊頭混狗肉, 時代寵児茲得咎, 缼損懐疑露。

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      十 首            東京都 石塚梨雲

       猫

  猫睡擅閑情。雌雄老少醉春風,櫻雲流碧空。

      梅 林

  風流家土春。馥郁梅香流旧林,夢想意中人。

       櫻

  櫻花滿山新。獨坐閑窓易憶人,韶光一路春。

       柳

  暄妍柳眼開。春風拂面酒盈杯,詩朋吟興催。

      童 女

  山笑坐悠然。風柔蝶舞五月天,声高童女玩。

      清 明

  風暖好清明。看花山寺覺身輕,人生蝶夢平。

      尚 友

  尚友喜讀書。薫風遶處白雲居,午夢入華胥。

       春

  江山春水流。百花齊放促清遊,與君閑可偸

      新緑閑愁

  山居風景鮮。緑陰白水晝蕭然,遙思弟在天

      寫古詩

  寫詩思古賢。上善如水走紅箋,筆底墨痕鮮

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      十 首             埼玉県 秋葉暁風

  俄積雪更清。萬朶白銀花發彩,静寂賞心生。

  覺醒四無聲。今朝雪舞今夕雨,一時如有情。

  春晩寒亦加。埋屋雪深人跡絶,白色似翻花。

  風寒積雪深。温酒爐邊冬夜永,窗外月沈沈。

  把杯又一杯。豪雪庭前環鉄骨,醉眼素梅開。

  山巓粉雪飛。小房過夜人擧杯,醉歌乘興催。

  迎春歩午晴。雪解潺潺流澗水,覺得風暖輕。

  清晨雪霽天。庭前日照銀花景,悦目皎皎然。

  籬邊發水仙。驟暖早春花似畫,芳信雪晴天。

  草緑雪堆中。山如白壁眼前過,車窗夕照紅。


     遊源平旧跡            神奈川県 高橋子沖

      源氏命運

  源氏伊豆平 石橋敗北苦難声 天運促再成

      石橋山源氏大敗

  氾濫酒匂川 援軍不来涙泫然 歴史万感牽

      鵐窟七騎落與梶原氏

  山陰苦登攀 隠身一日是仙寰 梶原灌情還


      漢俳・陶醉欣山笑        東京都 石倉鮟鱇

  花間得句好。俳人吟詠競黄鳥。陶醉欣山笑。

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      風裡櫻花飛 十七首       東京都 石倉鮟鱇

  櫻雲涌蓬島花底紅男緑女笑白頭吟却老
  春櫻花怒放隨處遊人帶酒香形勝堪欣賞
  悦目櫻花似詩魂飄舞張蝶翅才筆馳箋紙
  白首賞櫻遊青山形勝伴清流正堪傾美酒
  打傘賞寒櫻池邊閑散暮鴉鳴紅雨帶風情
  江東香雪飛櫻花星散浮春水詩情涌酒杯
  香雪若蝴蝶賞櫻花宴迎銀月詩翁吟五絶
  黄昏喜對酌醉仰櫻雲流碧落霞臉擅黒説
  騷人携酒來傾盞賞櫻花盛開求句競詩才
  詩馬正堪騎攢蹄馳入櫻雲裡嘶嘯競鶯啼
  旗亭買酒醇傾杯清晝賞櫻雲覓句暫遊魂
  花底憶西行濃春吉野入山櫻詠歌留盛名
  老來思樂土探春茅店醉瞻睹櫻花香雪舞
  家雀鳴哀切白首旗亭傾玉爵賞櫻花若雪
  白首傾金盞能否延命又一年傷目櫻花散
  探春出我家看到酒亭人下馬啜酒賞櫻花
  人欲競黄鶯裁賦十年到花徑曳杖入山櫻

      道 九首            東京都 石倉鮟鱇

  悲哉茲永別。畏友道山輕世道,學海擅詩學。

  求句屡逍遙。海濱道盡背江潮,途殫失目標。

  詩泉涌靈水。吟翁道弟勸霞杯,稱兄爲酒鬼。

  童女開明眼。聰耳道頭聞片言,知尾生靈感。

  兩叟醉春山。花底道長傾酒盞,爭短散空閑。

  緑酒盡金卮,苦吟道遠當馳志,日暮未成詩。

  退隱爲詩客。茅庵樂道在詩國,安貧磨古墨。

  歸隱作俳人。探幽古道求清韵,熱腸迷短文。

  論詩能却老。兩人稱雨話長喧,道晴説短笑。

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by kanshiriun | 2015-04-14 08:31
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