カテゴリ:2010年6月号( 2 )

梨雲 2010年6月号 no.110 1/2

詩 詞


      双調憶江南            千葉県 田 旭翠

       其一 婺源道中

  江西柳,両岸喜春来。隔水柔條揺不定,葩葩瑠玉向誰開。相映古鎮隈。
  猶多夢,嫩葉厭軽埃。任地含情如有意,枝枝弄影却空回。飛絮亦悠哉。

       其二 南昌雨

  江西雨,雨脚征衣侵。贛水江頭春已去,滕王閣下客愁深。点滴古猶今。
  春衫冷,残夢渺難尋。老到亦沾分手涙,経年更恨別離心。堪笑雨中吟

       其三 盧陵堆花酒

  江西酒,酒熟玉醅濃。八百年華推国色,三千進士冠関中。酌尽万秋功。
  人皆酔,酩酊太初同。独撫春醪憐悪客,深欣酔聖滌塵胸。携手賞春容。
 
   (注)文天祥曰 冰清玉液,層層堆花,真乃佳醸。堆花酒由此而得名。
      悪客 謂不飲者為悪客。出元次山集中。
      酔聖 謂盛唐詩人李白

      其四 革命揺籃井岡山

  茨坪好,気勢喜将奔。江合百川無限意,路通京兆大旗翻。回首溯淵源。
  黄洋界,一擲蒋王軍。遺烈依然伝快報,杜鵑花発慰英魂。星火刻碑新。


      東京逢高中同学凌宇向栄国華並客向栄家聊至零点帰来有作
                       千葉県 陳 興
  客里逢故友,喜能甞此歓。浮雲形不定,遊子意難安。
  今夜聚一室,明朝隔万巒。帰来忽見月,天上照孤単。

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      某女史賜煮筍。謝之。       千葉県 今田莵庵

  清明已了又酸寒,老境荊妻煙火難。煮筍携来隣近友,芳香椒味覚春闌。

    某女史賜我豌豆。是元埋蔵圖担□蒙 Tutankahmen 陵墓。
      今春播之于我庭,已幾多開花了。  千葉県 今田莵庵

  三千四百載前豌,圖担□蒙倶宿棺。播土萌芽紅紫夥,今知埃及古人歓。
            □:上+下:ka。

      櫻 二首             千葉県 橋本新歌

         一

  不避酷暑不畏寒,老茎新枝又一年。縱然燦爛三五日,總留俊美在人間。

         二

  青瓦柴扉小庭院,紅雲一片映碧天。疑是桃園新景致,老櫻几株傍垣邊。


      松戸生的宇宙飛行士山崎直子女士  千葉県 高橋香雪

  郷里才媛驚鬼神,停留宇宙気益振。幾多実験琴絃暖,縹緲遙天夢易真。

      鶴岡八幡宮大銀杏         千葉県 高橋香雪

  古都大樹倒強風,青史千年一夜中。再看嫩芽春雨後,遊人皆指凝双瞳。


     黄金週在故郷            埼玉県 塚越杉水

  高樹青々杜宇鳴,故園楚々鵑花争。笑囲老父全家建,更願児孫百世栄。

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       送別的書           埼玉県 芋川冬扇

   親朋明月下,話別保天真。記述男児志,直書筆有神。

      定 年            埼玉県 芋川冬扇

   北海青雲志,無功憶旧盟。南風新樹緑,托酒任人評。


      遭依冰島火山噴火空港閉鎖     神奈川県 萩原艸禾

  千山冥漠鳥飛絶,九漢迢遥客未回。窮境猶余蓑笠叟,独留江畔索塵灰。

     巡遊普羅旺斯(プロヴァンス)小村  神奈川県 萩原艸禾

  農郊山郭路交通,尋訪村村駘蕩中。危嶺登来煙欲散,広原俯瞰日将融。
  桜桃千朶展雲海,杉樹一針貫碧空。是郷嘗読回遊記,今憶心情万人同。

      北部低地荷蘭(オランダ)旅行有感二首
                       神奈川県 萩原艸禾
       其 一 (新韻九文)

  村郊坊市運河巡,平路流水隆高均。苦憶是邦勤勉誉,孜孜不汲忽如沈。

       其 二

 回遊江湊興自長,大舶軽舟常充塘。正解海洋王国号,茂林浮水是舟檣。

      杉樹花粉偶感           神奈川県 萩原艸禾

  朝来鼻涕流如泉,拭眼手巾嚢底穿。休恨告春花粉業,撒精杉樹共塵縁。

    この作、2010.4月号(No.109)では作者を高橋子沖としていま
    した。編集ミスをおわびします(編集子)

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     花与神社  七言古詩新韻     東京都 池田耕堂

      国立博物館庭園    台東区上野公園   

 陽春上野極華妍,桜花遊客共満山。五色芳影彩庭苑,清妙茅亭隠樹間。
 和装佳人列茶席,幾多夫妻巡池辺。静閑林泉別天地,晩秋紅葉更麗鮮。

      秩父神社       埼玉県秩父市

 従昔"妙見"衆所尊,秩父総社鎮"柞森"。妍華殿社実雄壮,豪奢本殿驚客魂。
 仲秋夜祭極殷賑,絢爛"屋台"天下聞。旧曾養蚕振興著,繁栄遺構随処存。
    (注)妙見:北斗星神 柞森:楢・椚の森 屋台:山車・笠鉾

      亀戸天神社      江東区亀戸

 学問神様特尊崇,"亀戸"一帯常繁栄。太鼓橋上暗香動,梅花満目臨水明。
 “菅公”従幼好梅樹,詩歌吟詠慈玉容。受験時節極殷賑,親子参拝今古同。
    (注) 菅公:菅原道真

      河津桜        静岡県河津町

 "稲取"吊雛実華妍,素朴人形真可憐。紅桜爛漫満河畔,黄菜無限装春原。
 昔人発見異品種,病死直前開花看。早春"南伊"巳温暖,魚介豊富風景鮮。
    (注) 南伊:南伊豆

      筑波山神社      茨城県新治郡

  秀麗双峰帯白雲,老杉聖地昼猶昏。青苔石段隔塵事,権現正殿延賞心。
  夫婦祖神鎮各頂,和合信仰今尚深。古来騒客詠形勝,梅花添趣多訪人。


      孟買遺跡展(ポンペイ展)      神奈川県 高橋子沖

  順風羅馬色香争,孟買住民夢又盈。激動火山埋巷涯,発掘壁画不堪情。

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      訪吉野梅郷            神奈川県 高橋子沖 

        一

  山峡清流麗,丘陵紅白霞。思君吹篠笛,処々鳥声谺。

        二

  青梅春色静,坐飲一旗軒。整整聞啼鳥,玲瑯絶俗喧。

        三

  早春山站万人群,一路探梅和気薫。独坐看花天地好,耽詩酌酒暮鐘聞。

      大岡河畔観桜           神奈川県 高橋子沖

        一

  香気駘河辺,鶯花又一年。故郷千里外,氣爽夕陽天。

        二

  桜花軽上天,静水大魚眠。思友徘徊久,残年夢亦円。

      訪熊野             神奈川県 高橋子沖 

       一 新宮速玉大社

  朱塗大社鮮陽光,静寂千古自放香。御幸百回銘歴史,回遊歩歩想仙郷。 

       二 熊野古道

  熊野深山三社鎮,曾径古道響鈴音。文明今日無人跡,初春旅愁感慨深。

       三 那智瀑布

  熊野深山幽谷郷,仰望飛瀑極凄涼。自然崇拝同千古,石径地祇玄酒香。

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      陽春独白             神奈川県 高橋子沖

  春生瑚蝶朱門翔,暖迫梅花小院香。野草幽花鶯語老,疎風冷水笋初長。
  自然無語乾坤濶,人生存朋日月光。白髪残年懐幾巡,旗亭酌酒順路忘。

      鎌倉鶴岡八幡宮大銀杏       神奈川県 高橋子沖

  天空聳立公孫樹,一夜狂風倒石階。悲劇実朝君解否,蘇生若葉揺風佳。


      上大雁塔             東京都 田村星舟

  初上西安大雁天,七層寺塔捲螺旋。俯看市肆春霞裏,秦嶺茫洋將欲眠。

      春日偶成 于琵琶湖        東京都 田村星舟

  一片白雲千里通,櫻開柳垂淡烟中。魚廻湖底潮波湧,鳥囀樹梢人影空。
  今日悠悠望晩照,明朝早早踏春叢。少間不謂塵寰事,花下心閑坐細風。


      雲龍井蛙             東京都 石倉鮟鱇

  酒店禿翁在,杯中得句佳:人間無海角,仙境有生涯。
  社鼠嘲詩虎,雲龍憐井蛙。高鳴若泥飲,未欲見天花。

      負氣含靈             東京都 石倉鮟鱇

  白頭却老學風韵,晩境多閑剩酒錢。負氣含靈乘醉興,游魂信口聳吟肩。
  四圍聽衆驚聲量,七律華辭生筆端。時有詩魔揮劍舞,使人駕鶴且登仙。

      靈心慧性             東京都 石倉鮟鱇

  老叟閑揮禿筆馳,巧描花底翠娥姿。櫻雲盛涌風輕處,才媛頻傾酒美時。
  烟景山光催韵事,靈心慧性擅華辭。搖唇求句無聲病,清晝忽成七律詩。

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      靈心慧齒             東京都 石倉鮟鱇

  晩境多閑人有喉,頻傾玉盞擅清游。靈心慧齒生七律,壺酒神功洗百憂。
  白首飛聲耽韵事,朱顔傷感似猿猴。愛詩消遣佯仙骨,似馬長嘶志未休。

      古調單彈             東京都 石倉鮟鱇

  淺飲醺然望碧河,山櫻花底對詩魔。禁中忙碌仙游少,邊境安閑韵事多:
  古調單彈人自厭,新風一起墨堪磨。聳肩吟句飛聲好,將競黄鶯千里歌。

      蛙鳴蝉噪             東京都 石倉鮟鱇

  迂叟多閑探酒旗,笑尋花貌使人迷。霞觴從古養騷客,雲液至今生妄批。
  蝸角蠅頭競詩譽,蛙鳴蝉噪老京畿。十年裁賦揮禿筆,鳳字搖唇振尾啼。

      逆水行舟             東京都 石倉鮟鱇

  佯仙老骨髪鬆鬆,回憶生涯依酒功。逆水行舟鼓長棹,順風傾盞枕閑肱。
  今朝有酒今朝醉,明日無錢明日窮。但有詩懷吟不厭,聳肩放唱夕陽紅。

      隱鱗藏彩             東京都 石倉鮟鱇

  散官退隱喜山棲,方丈茅庵隣碧谿。碎骨粉身學韵事,隱鱗藏彩待時機。
  春来風軟櫻雲涌,人去身輕鳳字啼。猶剩酒錢沽美禄,時得好句醉如泥。

      抛石子爲翡翠           東京都 石倉鮟鱇

  日照遠山殘雪輝,柳堤十里緑風微。試抛石子滑白水,化爲翡翠碧天飛。
  石ころを投げれば河水をすべりゆき翡翠となりて碧天へ飛ぶ

      全璧歸趙             東京都 石倉鮟鱇

  閑官辭客土,退隱作俳人。全璧將歸趙,花間求句春。

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      樹海深春             東京都 石倉鮟鱇

  白骨生苔如點瑕,髑髏頭頂見蘭花。緑林深處聳雲樹,恰似詩毫毛亂麻。

      涙流滿面             東京都 石倉鮟鱇

  萬里官游乏酒錢,涙流滿面老縁邊。無言獨佇鏡湖畔,目送赤烏燒暮天。

      涙如泉涌             東京都 石倉鮟鱇

  人賞山花競老鶯,聳肩求句試飛聲。涙如泉涌生白水,低首苦吟詩未成。

      涙進腸絶             東京都 石倉鮟鱇

  愁人有感試題詩,涙進腸絶如馬嘶。游目山光春爛漫,櫻雲香雪舞風時。

      涙如雨下             東京都 石倉鮟鱇

  目送東公被放流,涙如雨下洗離愁。啼鳩數語入梅處,只有烟霧無勝游。

      心靈手巧             東京都 石倉鮟鱇

  花貌開顏如玉蘭,才華横溢若濆泉。心靈手巧揮詩筆,節省推敲走錦箋。

      春光漏泄             東京都 石倉鮟鱇

  春光漏泄暗香流,玉貌如花含笑柔。白首忽知人戀愛,獨傾悶酒洗哀愁。

      春風一度             東京都 石倉鮟鱇

 共賞櫻雲盛涌時,春風一度雨情滋。乳房高聳破胸罩,毒婦將騎馬欲嘶。

      春滿人間             東京都 石倉鮟鱇

  櫻雲盛涌酒錢飛,春滿人間玉女陪。白首朱顔坐花館,對酌毒婦展蛾眉。


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      風譎雲詭             東京都 石倉鮟鱇

  泉下詩魔彈玉琴,甘言侑酒洗塵襟。風譎雲詭誑孤老,花費紙錢無好吟。

      風韵猶存             東京都 石倉鮟鱇

  鏡中緑髪帶微霜,風韵猶存點醉妝。美禄千鍾洗幽恨,題詩一筆晩花香。

      風馳電掣             東京都 石倉鮟鱇

  騷人帶酒化烏賊,墨液淋漓放色澤。詩筆含靈走箋上,風馳電掣盡職責。

      風輕雲淡             東京都 石倉鮟鱇

  白頭夢想坐棺材,駕鶴成仙無等儕。清晝風輕雲淡處,天人連袂抱琴來。

      雨淋日炙             東京都 石倉鮟鱇

  人求俳句喜尋幽,萬里開車旅九州。春賞櫻花秋水月,雨淋日炙朱夏舟。

      雨湊雲集             東京都 石倉鮟鱇

  愁人連袂賞春櫻,雨湊雲集擅雅情。風馳電騁成俳句,雷鼓殷殷飛一聲。

      愁眉涙眼             東京都 石倉鮟鱇

  白頭帶酒月明時,揮筆縱横描玉姿。花貌依窗傾酒盞,愁眉涙眼競西施。

      鰐魚眼涙             東京都 石倉鮟鱇

  詩客阿諛爲酒錢,鰐魚眼涙在龍潭。衆生順性適其所,去就古來隨上天。

      白雪陽春             東京都 石倉鮟鱇

  白雪陽春促雅情,俳人到處試飛聲。老殘凡句喜開霽,花朶宛如河漢明。

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      萬應靈丹             東京都 石倉鮟鱇

  萬應靈丹盈玉杯,醉猿朱臉眼花回。游魂半夢對毒婦,媚態艷然如貴妃。

      金丹換骨             東京都 石倉鮟鱇

  老叟不惜花酒錢,金丹換骨有詩仙。善乘吟興無聲病,信口游魂舞碧天。

      花遮柳隱             東京都 石倉鮟鱇

  時有詩魔侑酒觴,笑誇媚態褪霓裳。花遮柳隱穿人道,唇吐紅霞含夕陽。

      山中宰相             東京都 石倉鮟鱇

  天下安寧國運強,山中宰相滿頭霜。人間無用權謀士,午夢宮城飛酒觴。

      山栖谷隱             東京都 石倉鮟鱇

  散士求詩迷緑林,山栖谷隱競鶯吟。獨居十載學風韵,夢想繆斯彈玉琴。

      遺迹談虚             東京都 石倉鮟鱇

  蠧魚生羽論人非,遺迹談虚詭辯飛。川柳臨機得季語,春宵月下似風吹。

      蒼蠅見血             東京都 石倉鮟鱇

  蒼蠅見血飛魚肉,白首逢人撫雪肌。撥雨攜雲航慾海,清晨夢醒恨鳴鷄。

      蠅頭蝸角             東京都 石倉鮟鱇

  醉坐蠅頭案俳句,高吟蝸角競詩名。風人如此游霞洞,夢醒寒齋月四更。

      蠅飛蟻聚             東京都 石倉鮟鱇

  花痩緑肥風滿山,村民皆老亦多閑。蠅飛蟻聚求俳句,相競風情琴酒間。

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      夏爐冬扇             東京都 石倉鮟鱇

  老骨多閑爲酒仙,夏爐冬扇買詩箋。月中磨墨試揮筆,鳳字憂國遠日邊。

      泥多佛大             東京都 石倉鮟鱇

  上帝游魂講百僚,泥多佛大九天高。爾來隨處網籃重,海内農民皆服勞。

      泥牛入海             東京都 石倉鮟鱇

  櫻林十里雪花開,美禄盈杯洗菲才。欲把月娥浮鏡水,泥牛入海不回來。

      破釜沈舟             東京都 石倉鮟鱇

  時有詩魔化美姫,誑人求句不知疲。花錢傾盞常高唱,破釜沈舟掲酒旗。

      笨鳥先飛             東京都 石倉鮟鱇

  笨鳥先飛人擧觴,金壺緑酒洗愁腸。詩魔陪奉彈琴綫,風舞翩翩雲錦裳。

      詩魔誇舞姿            東京都 石倉鮟鱇

  人中酒毒如馬嘶,飛聲吟句聳肩時。詩魔有意来茅舎,翻袖悠然誇舞姿。

      呑支氣管鏡似長蛇尋找癌瘤     東京都 石倉鮟鱇

  支氣管深堪探求,長蛇前進找癌瘤。医生能手巧麻醉,患者定神如夢游。

      不見棺材不零泪          東京都 石倉鮟鱇

  春風吹處賞櫻雲,秋月盈時擅醉魂。不見棺材不零泪,聳肩高唱老山村。

      春蚕到死絲方盡          東京都 石倉鮟鱇

  春蚕到死絲方盡,秋月浮杯詩欲成。老骨多情吟不顧,菲才筆底舊風聲。

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      竹枝・三 首           東京都 石倉鮟鱇

  花容騎馬擅青春,風鬟霧鬢入櫻雲。

  酒家正似羽人巣,蠅聲蛙躁論詩豪。

  詩人飲酒上香台,泥牛入海不回來。

      十六字令・人 八 首       東京都 石倉鮟鱇

  人,瑟弄琴調伴絳唇。游花底,攜手擅青春。

  人,偏愛直言無隱眞。頻劇語,態度似王孫。

  人,隱介藏形求句新。傾壺酒,朗朗鼓吟唇。

  人,陋巷隱居求志貧。揮詩筆,箋上故山春。

  人,見景生情搖絳唇。花言巧,侑酒賺錢春。

  人,玉骨氷肌解肇春。花將綻,對鏡抹紅唇。

  人,逆水行舟鼓棹勤。同航向,千里海鴎隣。

  人,以肉驅蠅得句新。蒙稱贊,請客酒家春。

      十六字令・觴杯 三 首      東京都 石倉鮟鱇

  杯,隱忍不言堪洗悲。櫻花底,羨望鳥雙飛。

  觴,柳聖花神傾酒長。乘酣興,唇吐句含香。

  觴,醉叟胡説乱道長。押風韻,筆底羽人翔。

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      十六字令・春           東京都 石倉鮟鱇

  春,蟯動堆肥蚯蚓新。風拂面,山客不嫌貧。

      十六字令・五 首        東京都 石倉鮟鱇

  王,善解蛙蟇勝負長。聽言好,爲政守綱常。

  仙,口角生風帶紫烟。游魂巧,鼓羽舞蒼天。

  翁,口角生風得句工。吟肩聳,振羽作飛鴻。

  豹,死後留皮人戰袍。孤孀泣,血涙洗鋼刀。

  狐,弄口鳴舌誑酒徒。佯詩客,花費醉顔朱。

      十六字令・八 首       東京都 石倉鮟鱇

  君,對鏡調脂弄粉春。描眉目,最末抹朱唇。

  才,八斗隱鱗藏彩裁。詩堪賞,天女抱琴來。

  聲,舌敝唇焦飛血青。求俳句,人似杜鵑鳴。

  詩,逆道亂常傾酒卮。花前醉,妄想月明時。

  情,正似花遮柳隱行。私奔處,攜手怕天晴。

  靈,奮死灰身粉骨登。風輕處,天碧淡雲明。

  愚,奉若神明作蠧魚。學詩韵,求句老山居。

  説,称雨道晴人鼓舌。春宵好,美酒更堪酌。

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by kanshiriun | 2012-11-18 14:48 | 2010年6月号

梨雲 2010年6月号 no.110 2/2

        短 詩


      曄歌  四首           東京都 田村星舟

  恵風微。氣分高漲,回草堤。

  花發期。卒業証書,墨淋漓。

  有詩朋。啜茗閑話,恣餘生。

  山遠近。春風吹衣,天際歸。

      俳句與曄歌            東京都 田村星舟

  蝸牛ちちははの井戸涸れにけり
  已干涸。父母古井,蝸牛爬。


       曄歌・六 首          東京都 石塚梨雲

  牡丹紅。和気百香,笑語同。

  牡丹白。春愁一片,仰蒼穹。

  花色開。塵外清遊,気悠哉。

  百花香。青眼高歌,希望長。

  酒一杯。詩人満座,笑談催。

  筆如龍。一巻詩書,興更濃。

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     曄歌・五 首           千葉県 高橋香雪
    (松、竹、梅、菊、牡丹)

  門外松,青境無塵,日没鐘。

  竹窓前,一宵詩酒,月嬋娟。

  一枝梅,馬語喈喈,古香台。

  菊花黄,淵名勧酒,又重陽。

  紅粉姿,牡丹競美,寄相思。


      瀛歌・二 首          千葉県 高橋香雪

  万枝花。紅雲香雪,亦繁華。煌煌電飾,何処酒家。

  看花遊。漾漾桜雲,酒味柔。駅頭春去,一片詩愁。


      曄歌・二 首          埼玉県 芋川冬扇

向艶陽。枯木重栄,浴仏光。

   酒一樽。月落歌残,任君呑。

      坤歌・二 首          埼玉県 芋川冬扇

   老妻夫。退去雛孫,一言無。

   老人酒。青年失業、叫痩狗。

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      曄歌・偶 成          東京都 石倉鮟鱇

  夜光深。誰彈千里,馬頭琴。

      偲歌・逆坂走丸         東京都 石倉鮟鱇

  花容笑看,詩人扼腕。逆坂走丸,佯鐡漢。

      六言俳句・二 首        東京都 石倉鮟鱇

  春,堆肥蚯蚓,新。   春なれば堆肥に蚯蚓新たなり

  唇,調脂弄粉,春。   唇や化粧に凝れば春である


      七言俳句・八 首        東京都 石倉鮟鱇

  武士有時吟漢詩。   さむらひは時に漢詩を吟じけり

  櫻雲盛涌流霞洞。   櫻雲の盛んに涌けり流霞洞

  肉山酒海夢生財。   肉山と酒海や夢に財をなし

  舐皮論骨得官祿。   皮を舐め骨を論ずる官の祿

  玉走金飛人老悲。   玉が走り金が飛びゆき人が老ゆ

  豹死留皮人痩妻。   豹死んで皮をのこせり人は妻

  花痩緑肥蒙墓碑。   花は痩せ緑が肥えて蔽う墓碑

  吞舟漏罔大魚長。   舟を呑み網から漏れて大魚長ず

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      四七令與短歌          東京都 石倉鮟鱇

  孀婦花魂,風韵猶存抱酒樽。
  孀婦の花の魂に風韵のなお存すれば酒樽を抱けり

  風卷殘雲,人散櫻林花痩春。
  風が残雲を巻くごとく人散じ櫻の林に花痩せる春

  駕鶴成仙,風輕雲淡耀西天。
  鶴に駕し仙と成るなり風軽く雲淡くして耀く西天

  白雪陽春,到處俳人得句新。
  陽春に白雪降れば到るところ俳人は得ん新しき句を

  人羨海鴎,逆水行舟万里秋。
  羨ましきはかもめかな水に逆らい棹を鼓す秋の行舟

  歸奇顧怪,詩人各各誇情態。
  歸庄は奇 顧炎武は怪 詩人らはおのおの誇る情態

      五七令與短歌          東京都 石倉鮟鱇

  鮟鱇吐珠唾,悦目詩中櫻萬朶。
  鮟鱇は珠唾を吐くなり詩中には目を悦ばして万朶の櫻

  朱顏挂酒旗,風馳草靡醉猿啼。
  酒旗をかかげて朱顏あり風は馳せ草は靡いて醉猿が啼く

  青年敬白首,談笑封侯斟美酒。
  青年が敬う白首 談笑で侯になられて美酒を斟みをる

  俳人得句餘,鶯聲燕語遍花虚。
  俳人が句を得たのちは鴬と燕が歌い花虚にあまねし

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(承前)

  棄舊憐新,天下詩人賞花春。
  旧きを棄て新たなるをば憐れまん天下の詩人桜蔭の春

  談笑風生,雅会歌人飛美聲。
  談笑すれば風が生じてみやびなり歌人が飛す美しき声

  月夜帶春情,談吐風生韻致清。
  月の夜は春情を帯び談吐せば風が生じて韻致清らか

  孤老寒灯下,涕泪交加洗春畫。
  寒灯のもとに孤老の鼻水は涙とともに春画を洗う

  情書奈無力,涕泪交集混雲液。
  いかんせん情書は無力―鼻水は涙とともに酒に混ざらん

  花容此皺眉,涕泪交埀悶酒杯。
  眉に皺をよせて花のかんばせの涕泪垂るるやけ酒の杯

  鏡中白髪叟,涕泪交流獨感舊。
  鏡中に叟は白髪―鼻水となみだ流れてひとり感旧

  別恨伴春情,涕泪交零感鳥聲。
  別恨に春情そはば鼻水となみだこもごも鳥声に感ず

  萬應靈丹盈玉盞,人似猿朱臉。
  万能の靈薬玉の杯に満ち人は似るなり猿の赤ら顔

  老學詩韵清,負氣含靈飛美聲。
  晩学に詩韵は清し気を負えば靈を含んで飛びゆく美声

  陋巷隱居人,求志十年知赤貧。
  志を求めし人の陋巷に隱居十年赤貧を知る
-18-

  人能陪酒興,見景生情附鳴鳳。
  人のよく酒興に陪し景を見ん情生ずれば鳴鳳に附す

  奮死不屈服,灰身粉骨入魔窟。
  奮死するも屈服せず身を灰に骨を粉にし魔窟に入らん。

  俳人中酒毒,金丹換骨句脱俗。
  俳人があたる酒毒や金丹に骨を換えられ句は俗を脱す

  花貌抹紅唇,玉骨氷肌解肇春。
  紅を引く花のかんばせ玉骨の氷の肌の解けゆく肇春

  天下有風騷,人競情操吟句豪。
  天が下風騷あらば情操に人ら競はむ吟句の豪を

  春夜擅風情,称雨道晴言不精。
  春の夜に風情をなん擅せば,称雨道晴 言は精ならず

  春晝有幽情,花遮柳隱人孤影。
   春の昼に幽情あり人影を花が遮り柳が隠す

  才媛詠青春,柳聖花神搖絳唇。
  才媛が詠む青春や揺らすのは柳聖花神のあかき唇

  天下久平康。山中宰相滿頭霜。
  天がした平康にして久しければ山中の宰相に滿頭の霜

  蠧魚生緑羽,遺迹談虚飛綺語。
  緑の羽を生じて蠧魚は跡付けのなき虚談に綺語を飛ばしけり

  八哥誑散官,泛泛而談説宝山。
  散官が九官鳥に誑かされ泛泛と談じ宝山を説く

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 (承前)

  美酒洗詩豪,胡説乱道羽人巣。
  うまき酒の詩豪を洗はば胡説あり道を乱さむ羽人らの巣に

  裁賦缺才藻,賊頭鼠腦偸輕宝。
  才藻を賦を裁するに欠くなれば賊頭鼠腦 軽宝を偸む

  樗散傾金盞,賊眉鼠眼偸康健。
  金盞を樗散傾け賊の眉 鼠の眼で偸む健康。

  人裝做詩豪,蠅聲蛙躁唱歌高。
  ある人が詩豪のふりをするならば蝿声蛙躁 唱歌して高し

  風人吟袖飄,蠅頭蝸角聳肩高。
  風人が吟じて袖はひるがえり蠅頭蝸角に肩は聳えん

  昂頭在天外,古来詩客多無頼。
  天外に頭をあげて詩人らは古来おおいに無頼となれり

  住民皆老去,蠅飛蟻聚吟俳句。
  住民のみな老い去らば蠅が飛び蟻集うごと俳句を吟ず

  散官爲酒仙,夏爐冬扇亦詩箋。
  散官が酒仙となりぬ夏の爐の冬の扇のまた詩箋のごと

  吟客聳肩高,舌敝唇焦俳句豪。
  吟客の肩は聳えり舌やぶれ唇焦げて俳句豪なり

  激論轉瘋狂,舌劍唇槍手酒觴。
  激論しうたた瘋狂,舌は劍唇は槍手には酒觴。 

  閑官力戰多,舌鋒如火降詩魔。
  閑官に力戦多し舌鋒は火のごとくして詩魔を降す。

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by kanshiriun | 2012-11-18 14:47 | 2010年6月号